相続土地国庫帰属制度の現状とこれから|相続した土地を国に引き渡す制度はどう変わる?

投稿日:2026年8月27日

さいたま市浦和・大宮を中心に相続税のご相談を受け付けています。埼玉あんしん相続相談室です。

ロイヤルパインズホテル浦和内に「相続ラウンジ」がございます。お気軽にご相談ください。

 

相続した土地を「使う予定がない」「売却したいけれど買い手が見つからない」「遠方に住んでいるため管理が難しい」といった悩みを抱える方は少なくありません。

こうした相続した土地の管理負担を解消するため、令和5年4月から「相続土地国庫帰属制度」が始まりました。

一定の要件を満たす土地について、法務大臣の承認を受けることで、その土地の所有権を国庫に帰属させることができる制度です。

制度開始から3年余りが経過した現在、申請件数や国庫に帰属した土地も増えてきました。一方で、国庫に帰属した土地の多くは市場で売却しにくい土地であり、国がその後どのように管理・処分していくのかという課題も見えてきています。

 

相続土地国庫帰属制度とは?

 相続土地国庫帰属制度は、相続または相続人への遺贈によって取得した土地について一定の要件を満たす場合に、土地の所有権を国庫に帰属させることができる制度です。

相続したものの利用する予定がなく、売却も難しい土地をそのまま所有し続けると、固定資産税の負担だけでなく、草木の管理や近隣への対応などさまざまな負担が生じる可能性があります。

こうした土地を国に引き渡すことで将来的な管理負担を解消できる可能性があることがこの制度の大きな特徴です。

もっとも、どのような土地でも国が引き取ってくれるわけではありません。

例えば、建物が存在する土地、担保権や使用収益権が設定されている土地、境界が明らかでない土地などは原則として申請することができません。

また、崖がある土地や、土地の管理・処分を阻害する工作物、樹木などがある土地、隣接する土地との争いがある土地などについても承認を受けられない場合があります。

さらに、国庫への帰属が承認された場合には、土地の管理費用の一部として「負担金」を納める必要があります。

負担金は、原則として国がその土地を10年間管理するために必要となる標準的な費用を考慮して算定されます。

つまり、相続土地国庫帰属制度は「無料で国が土地を引き取ってくれる制度」ではありません。

土地の状態を確認したうえで申請をおこない、審査を受け、承認後には負担金を納付するという手続きが必要になります。

 

制度開始から3年余り、利用状況は?

 では、実際にどのくらいの土地がこの制度を利用しているのでしょうか。

法務省が令和8年8月21日に公表した最新の統計によると、令和8年7月31日現在の申請件数は5,863件となっています。

このうち、地目別では田・畑が2,278件、宅地が2,040件、山林が893件、その他が652件となっています。

一方、国庫への帰属件数は3,008件で、宅地が1,115件、農用地が964件、その他が652件となっています。

制度開始から一定の期間が経過し、相続した土地を手放すための選択肢として、少しずつ制度が利用されていることが分かります。

ただし、申請された土地のすべてが国庫に帰属しているわけではありません。

令和8年7月31日現在では、却下が85件、不承認が96件、取り下げが1,102件となっています。

特に注目したいのが「取り下げ」です。

取り下げのうち571件は、有効活用の見込みが生じたことによるものでした。

自治体や国の機関による土地の活用が決まったケースや、隣接地の所有者から引き受けの申出があったケース、農地として活用される見込みとなったケースなどがあります。

これは相続した土地について「国に引き取ってもらう」ことだけが解決策ではなことを示しているともいえるでしょう。

 

 国庫に帰属した土地にも新たな課題

相続土地国庫帰属制度によって国に引き渡された土地は国がその後ずっと保有し続けるとは限りません。

むしろ、国庫に帰属した土地の中には市場性が乏しく、簡単には売却できない土地も多くあります。

財務省は令和8年6月、国庫に帰属した土地について売却や貸付を促進するために新たな取扱いを示しました。

背景には、人口減少や少子高齢化による土地利用ニーズの低下などがあり、国庫に帰属した土地についても長期間にわたって管理費用が発生することが課題となっています。

そこで、今後は従来の一般競争入札だけでなく、随意契約による売却や貸付をおこなえるようにし、さらに測量や境界確定、地下埋設物等の調査を省略した「現状有姿」による売却も可能とする仕組みが導入されました。

国としても、国庫に帰属した土地を長期間抱え続けるのではなく、できるだけ早く民間や自治体などによる活用につなげていこうという方向に進んでいるといえます。

 

国庫帰属土地の「売り方」も見直される

今回の見直しで特に注目されるのが土地の評価額の考え方です。

財務省の資料では、現状有姿による売買の場合、測量や境界確定、地下埋設物等調査をおこなわず、そのリスクを買主側に移転することをふまえ、評価額を標準で30%引き下げる方向が示されています。

さらに、その価格でも買い手が見つからない場合には、市場の反応を見ながら、3ヶ月ごとに10%ずつ価格を引き下げる仕組みが検討されています。

これは国庫に帰属した土地について「国が所有しているから高く売る」という考え方ではなく、実際の市場で買いが見つかる価格まで調整していくという考え方です。

相続した土地の処分方法を考える際にも今後こうした国の土地処分の動きは注目しておきたいところです。

 

相続した土地は「国に引き渡す」前に総合的な検討を 

 相続した土地をどうするか考えるとき、相続土地国庫帰属制度は選択肢の一つです。

しかし、「売れないから国に引き取ってもらう」というように、最初から国庫帰属を考えるのはおすすめできません。

土地によっては売却できる可能性がありますし、隣接地の所有者に取得してもらえる場合もあります。

また、自治体への寄付や農地としての利用、賃貸など別の活用方法が見つかる可能性もあります。

実際、国庫帰属制度を利用する場合にも、建物の解体、境界の確認、土地の状態の確認など、事前に整理しておかなければならない事項があります。

そのため、相続した土地については「売却できるか」「活用できるか」「国庫帰属制度をりようできるか」といった複数の選択肢を比較し、将来的な費用や手続きも含めて判断することが大切です。

 

 まとめ

相続土地国庫帰属制度は相続した土地を手放したい場合の新しい選択肢として令和5年4月から始まりました。

令和8年7月末時点では、申請件数は5,863件、国庫への帰属件数は3,008件となっており、制度の利用は着実に進んでいます。

一方で、国庫に帰属した土地についてもその後の管理や処分が課題となっています。

こうした状況を受け、令和8年には随意契約による売却や現状有姿による売却など国庫帰属の土地処分を促進するための新しい仕組みが示されました。

相続した土地について「使う予定がない」「売却したいが買い手が見つからない」「遠方にあり管理が難しい」といった場合には、相続土地国庫帰属制度も含め、土地の状況に応じた処分方法を検討することが重要です。

相続した土地をどうするかは相続税だけでなく、その後の維持管理や売却まで含めて考える必要があります。

土地の処分や相続税についてお悩みの場合は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。

 

参考:相続土地国庫帰属制度について|法務省

「相続ラウンジ」のご案内

相続税,相続,浦和,さいたま市,埼玉,相続税申告,大宮,税理士

埼玉(さいたま)浦和で相続税相談ならお任せください!

お問い合わせはこちら→【埼玉あんしん相続相談室 お問い合わせメールフォーム

フリーダイヤル:0120-814-340 ◆受付9:00~18:0


新着情報の最新記事

ご相談は無料です、お問合せ・ご予約はお気軽にどうぞ 0120-234-567 受付時間9:00-18:00 夜間土日祝日要相談 浦和駅から徒歩5分 ネットでの相談予約はこちら
  • 無料相談はこちら
  • 料金表はこちら
  • 新着情報はこちら