相続における不動産の評価「土地」と「建物」
公開日:2024年8月2日
さいたま市浦和・大宮を中心に相続税のご相談を受け付けています。埼玉あんしん相続相談室です。
相続税は、被相続人の遺産を把握し、それぞれの遺産の評価をして、遺産総額と相続人の人数によって計算されます。
相続する遺産は預貯金や不動産、株式などさまざまです。それぞれをきちんと評価しなければ相続税は計算できません。
その中でもこの記事では不動産の評価「土地」と「建物」にわけて解説します。
不動産の評価
例えば、相続する預貯金が5,000万円であれば、額面通りの5,000万円が預貯金の評価なので分かりやすいです。
しかし、不動産は定められた評価方法に則って評価額を算出するため、難題となります。
不動産の評価は「土地」と「建物」でそれぞれの計算式を用いて評価額を計算します。
不動産の評価はとても複雑で、土地の評価においては専門家によっても評価額が変わると言われており、高額になれば相続税額に大きな影響を与えます。
もし、評価が必要となった際は、相続を専門としている税理士へご相談をおすすめします。
では、不動産の評価について「土地」と「建物」に分けて、確認していきましょう。
不動産(土地)の評価
土地の評価方法は2種類あります。
それは「路線価方式」と「倍率方式」で、該当の土地がどの区分になっているで計算方式が異なります。
「路線価方式」
路線価方式とは道路に路線価が設定されている土地の評価で使用します。
つまり、路線価が付されている道路に面した土地であれば路線価方式となります。市街地やオフィスなどはほとんどが路線価での評価です。
計算式は「路線価✕地積✕補正率」です。
まず、路線価は国税庁HPで確認できます。
道路に面した1㎡あたりの土地の評価額を表しています。
路線価の見方はこちら>>>コラム「相続税における土地の評価額とは?路線価マップの見方」
では、計算式で使用される補正率とはなんでしょうか。
土地は真四角な整形地であると利用価値が高く、路線価も高くなります。
しかし、土地が真四角ではなく、いびつな形状の場合は利用価値が低いとなることから補正率が設けられています。
例えば、奥行きが極端に長かったり、短ったりする場合は奥行価格補正。間口が極端に狭い場合は間口狭小補正。斜面に宅地があるとがけ地補正。などで補正率を求めます。
「倍率方式」
倍率方式は路線価が定められていない土地の評価額を算出するときに使われる方式です。
人口が少ない地方や市街地化されていない地域、田畑や山林などが倍率地域の対象となります。
倍率地域であるか確認するには路線価を調べるのと同様に国税庁HP「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」で確認ができます。
計算式は「固定資産税評価額✕倍率」です。
固定資産税評価額は土地の所有者に送られてくる「固定資産税の課税明細書」で確認することができます。
課税明細書は毎年4~5月に届きます。
不動産(建物)
建物の評価額は固定資産税の課税明細書に記載されている「固定資産税評価額」をそのまま適用します。
課税明細書には評価額以外に「課税評価額」という記載もあります。
価格と同額になりますが、課税標準の特例が適用されている場合、減額されていることがありますので、価格と取り違えないよう注意をしましょう。
不動産(マンション)
マンションの評価は、戸建てと同様に「建物部分」と「敷地部分(土地)」に分けて評価をします。
建物部分は先ほどご案内と同じで、課税明細書の固定遺産税評価額と同額です。
敷地部分(土地)の評価は、マンションの敷地全体評価額と持分割合とで評価額を算出します。
マンションの敷地全体の評価額は、戸建ての土地と同様に路線価方式か倍率方式が確認をして、評価額を計算します。
持分割合は、法務局で取得できる登記事項証明書(登記簿)で確認できます。
その中でも「敷地権の割合」が持分割合になります。
マンションの評価をする上で注意する点は、令和6年1月1日以降に相続・贈与で取得したマンションは建物と土地のそれぞれ一定の補正をおこなうことになります。
タワーマンションを利用した過度な節税対策をストップさせるためにもマンションの評価方法が見直された背景があります。
建物と土地の評価額を算出した後、それぞれに区分所有補正率をかけて価額を補正します。
この算定方法は非常に複雑なため、国税庁は「計算明細書」を案内しています。Excelの提供もありますので参考にしてください。
参考:国税庁「居住用の区分所有財産の評価に係る区分所有補正率の計算明細書」
まとめ
不動産を相続したときの評価方法について土地と建物およびマンションの評価について解説をしました。
建物の評価は想像より簡単だと思われたかもしれません。
しかし、土地の評価は補正率を使用すると複雑になっていきます。
加えて、令和6年1月1日以降に相続したマンションについては新しい評価方法で計算されます。
不動産の評価は、税理士によっても評価額が大きく変わると言われているくらい複雑です。
もし、相続が発生して、不動産を相続した場合には相続専門の税理士にご相談ください。
また、相続税の評価や申告とあわせて登記もご希望の場合は司法書士の紹介も税理士はしてくれますのでご検討ください。
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