相続財産に“借金”がある場合の相続税はどうなる?

更新日:2025年8月22日

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相続というと「財産を受け取る」イメージが強いですが、実際には財産にはプラスの財産(現金、預貯金、不動産、株式など)と、マイナスの財産(借入金、未払いの税金、連帯保証債務など)の両方があります。

そして、相続人は「プラスの財産だけ」ではなく「マイナスの財産」も引き継ぐことになるのです。

では、相続財産に借金がある場合、相続税はどうなるのでしょうか?

この記事では、相続税の計算における借金の扱いや、相続放棄を含めた選択肢についてわかりやすく整理してみます。

 

借金は「債務控除」として差し引ける

相続税の計算は、まず「被相続人(亡くなった方)のすべての財産」を評価して合計額を出します。

そこから、借金や未払いの税金など、被相続人が負っていた債務を差し引くことができる仕組みになっています。これを「債務控除」といいます。

たとえば、次のようなケースを考えてみましょう。

• 財産:預金 5,000万円、不動産 3,000万円 → 合計 8,000万円
• 借金:住宅ローン 2,000万円

この場合、相続財産の評価額は「8,000万円-2,000万円=6,000万円」となります。つまり、借金がある分、相続税の対象となる財産は少なくなるのです。

 

債務控除の対象になるもの・ならないもの

借金であれば何でも控除できる、というわけではありません。債務控除の対象となるのは、亡くなった時点で確定していた債務に限られます。

代表的なものは次のとおりです。

 

対象になるもの

• 金融機関からの借入金(住宅ローン、事業用ローンなど)
• 知人・親族からの借入金(証拠資料が必要)
• 未払いの税金(所得税、住民税、固定資産税など)
• 医療費や介護費用の未払い分
• クレジットカードの未払い残高

 

対象にならないもの

• 香典返しなど、相続後に発生する費用
• 墓地や仏壇の購入費用(そもそも相続税の課税対象外)
• 遺言執行や遺産分割協議にかかる費用

「亡くなった時点で確定している負担」だけが控除の対象になると覚えておくと分かりやすいでしょう。

参考:No.4126 相続財産から控除できる債務|国税庁

 

借金が財産を上回ってしまったら?

相続財産の中には、不動産や現金といったプラスの財産だけでなく、借金などマイナスの財産も含まれます。もしマイナスの財産のほうが多ければ、相続人は借金を背負うことになってしまいます。

たとえば、
• 財産:1,000万円
• 借金:3,000万円

この場合、差し引きすると「マイナス2,000万円」となり、相続することで逆に借金を抱えることになります。

 

相続放棄という選択肢

このような「借金の方が多い相続」の場合に検討すべきなのが、相続放棄です。

相続放棄をすると、最初から相続人でなかったことになり、プラスの財産もマイナスの財産も一切引き継ぎません。借金を抱えるリスクを避けたい場合には非常に有効な手段です。

ただし注意点として、
• 相続放棄は「相続があったことを知った日から3か月以内」に家庭裁判所で手続きをする必要がある
• 相続放棄をするとプラスの財産も一切受け取れない
というルールがあります。

「借金が多そうだが、財産の全容が分からない」という場合は、限定承認という制度もあります。

これは「プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を引き継ぐ」という方法で、借金が多すぎてマイナスにならないように調整する仕組みです。

ただし、実務上は相続人全員で行う必要があるため、利用頻度は高くありません。

 

借金がある場合の相続税申告で注意したいこと

借金がある場合、相続税の計算では「債務控除」が使えるため、財産評価額を下げることができます。結果として、相続税がかからなくなるケースも珍しくありません。

しかし、その際には以下の点に注意が必要です。

 

1.債務の立証資料の保存

借用書や銀行の残高証明、未払い税金の通知書など、借金の存在を証明する書類を必ず残しておく必要があります。

 

2.親族間借入の取り扱い

特に親族からの借入金は「実態のない貸し借り」と判断されやすいため、返済実績や契約書が重要です。

 

3.相続放棄とのタイミング

相続放棄は3か月、相続税申告は10か月と、それぞれ期限が設けられています。手続きを失念すると不要な債務を負担する結果となり得るため、早期の判断が求められます。

 

まとめ

相続財産に借金が含まれていると、不安に感じる方も多いですが、相続税の計算上は「債務控除」によって正しく差し引くことができます。

また、借金が多すぎる場合でも、相続放棄という手段でリスクを回避することが可能です。

大切なのは、
• 亡くなった方の財産と借金を正しく把握すること
• 相続税の申告期限(10か月)や相続放棄の期限(3か月)を守ること
• 曖昧な部分は早めに専門家へ相談すること

借金がある相続は複雑ですが、適切に対応すれば余計な負担を避けることができます。

「借金があるから相続は不安」と思ったときこそ、冷静に状況を整理し、税理士など相続に詳しい専門家に相談していただくのが一番の安心につながります。

 

 

 

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