親が老人ホームに入ったら、自宅の相続税対策はどうなる?小規模宅地等の特例は

更新日:2025年8月27日

さいたま市浦和・大宮を中心に相続税のご相談を承っています。埼玉あんしん相続相談室です。

ロイヤルパインズホテル浦和内に「相続ラウンジ」がございます。お気軽にご相談ください。

 

「親が高齢で、老人ホームに入る予定です。実家はどうしたらいいでしょう?小規模宅地等の特例は使えますか?」

この質問は、近年とても増えています。

特に相続税がかかる可能性があるご家庭では、親の介護と並行して税負担をどう抑えるかが大きな関心事です。

しかし、要件等を正しく理解していないと、思わぬところで特例が適用できなくなり、結果的に数百万円単位の税額差が生じることもあります。

「親が老人ホームへ入所した場合の小規模宅地等の特例」について、よくある誤解と注意点を整理します。

 

小規模宅地等の特例とは?

相続税には、「小規模宅地等の特例」という土地にかかる税金を大きく減らすことができる制度があります。

被相続人(亡くなった方)が居住していた宅地について、330㎡まで80%評価減という優遇が認められる制度です。

 

例えば、路線価1㎡あたり30万円、敷地200㎡の自宅であれば、
本来の評価額:30万円 × 200㎡ = 6,000万円
特例適用後:6,000万円 × 20% = 1,200万円
となり、4,800万円もの評価減になるのです。

ただし、適用を受けるには「被相続人の居住の用に供されていた宅地」であることが原則です。ここで、老人ホーム入所時に「居住の用に供されなくなる」ことが問題になります。

※上記の計算は小規模宅地等の特例のイメージをわかりやすくお伝えするための簡易な計算です。実際の評価方法や金額は個別に異なる場合がありますので、詳しくは専門家にご確認ください。

参考:No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)|国税庁

 

老人ホーム入所で自宅は特例対象外?

結論から言うと、入所したから即アウト、というわけではありません。

国税庁の取扱いによれば、被相続人が養護老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などに入所し、自宅が空き家になったとしても、一定の要件を満たせば「居住していた宅地」とみなされます。

その要件とは、

●被相続人が相続開始直前において、要介護認定・要支援認定・障害支援区分の認定を受けていること

ここでポイントなのは、「入所時点ではなく、亡くなる直前において認定を受けていれば特例の適用が可能」ということです。

したがって、入所時に認定を受けていなくても、後から要介護認定を受ければ特例は適用できます。

 

よくある誤解「子どもが実家に住めば安心」は危険!

ここで注意したいのが、老人ホーム入所後に別居の子どもが実家に移り住むケースです。

「親が入所して空き家になったから、管理のために住んでもいいですよね?むしろ住んだ方が良いのでは?」という発想は自然ですが、ここに落とし穴があります。

なぜなら、法令で「老人ホーム入所後に新たに生計別の親族が居住に使った宅地は特例の対象外」とされているからです。

つまり、
親が入所 → 空き家のまま → 特例適用「可」
親が入所 → 子どもが移り住む → 特例適用「不可」

という結果になります。

一見、実家を維持する趣旨に反しているように思えますが、節税目的で入居するケースを防ぐためのルールなのです。

一方で、親が入所する前から同居していた子どもが、そのまま実家に住み続ける場合は、特例の適用が可能です。

要は、「入所後に新たに住み始めたかどうか」がポイントになります。

 

注意点

まず大切なのは、要介護認定の取得タイミングです。

特例の要件は「相続開始直前において認定を受けていること」ですので、入所の時点で認定を受けていなくても構いません。

ただし、認定を受けないまま相続を迎えると特例は適用できません。入所後、介護度が上がったタイミングなどで早めに認定申請の検討、申請を進めておくことが重要です。

また、相続税のシミュレーションを早めに行うことです。

小規模宅地等の特例を適用できるかどうかで、税額は数百万円単位で変わります。

老人ホームへの入所を検討する段階で、不動産評価額や他の資産状況を踏まえ、専門家と一緒に試算を行っておくことが、安心につながります。

 

まとめ

親が老人ホームへ入所した場合でも、小規模宅地等の特例が必ずしも使えなくなるわけではありません。

被相続人が相続開始直前において要介護認定などを受けていれば、入所中であっても自宅は「居住していた宅地」とみなされ、特例の適用が可能です。

ただし注意すべきは、入所後に別居していた子どもなど、生計を別にしている親族が新たに実家に住み始めると、特例の対象から外れてしまう点です。

一方、入所前から同居していた子がそのまま住み続ける場合は、特例の適用を受けられます。

こうしたルールを正しく理解し、介護や入所のタイミングと合わせて、早めに専門家と相談しておくことが、無駄な税負担を防ぐための重要なポイントといえるでしょう。

 

 

 

「相続ラウンジ」のご案内

 

 

埼玉(さたま)浦和で相続税相談なら埼玉あんしん相続相談室にお任せください!

お問い合わせはこちら→【お問い合わせメールフォーム】

フリーダイヤル:0120-814-340 受付9:00~18:00

新着情報の最新記事

ご相談は無料です、お問合せ・ご予約はお気軽にどうぞ 0120-234-567 受付時間9:00-18:00 夜間土日祝日要相談 浦和駅から徒歩5分 ネットでの相談予約はこちら
  • 無料相談はこちら
  • 料金表はこちら
  • 新着情報はこちら