成年年齢引き下げは相続税・贈与税にどんな影響が?
公開日:2022-08-31
さいたま市浦和・大宮を中心に相続税のご相談を承っています。埼玉あんしん相続相談室です。
令和4年4月1日から成年年齢が20歳から18歳に引き下げられました。
引き下げられたことで、親の同意なくローンを組んだり、アパートの賃貸契約、クレジットカードの作成など契約行為が可能となりました。
成年年齢の見直しは約140年ぶりで、相続税や贈与税にも影響がありますので解説します。
成年年齢引き下げによる相続税への影響
成年年齢の引き下げが相続税へ与える影響は「未成年者控除」と「遺産分割協議」の2点です。
未成年者控除
相続税の未成年者控除は、相続人に未成年者がいる場合に相続税から一定の金額を差し引くことが出来る制度です。
未成年者が成人に達するまでの年数に10万円を乗じた金額を控除することができます。
つまり、成年年齢が引き下げられた令和4年4月1日以降に発生した相続では、未成年者控除額が実質、2年間分=20万円少なることになります。
遺産分割協議
相続税の申告が必要で、遺言書がない場合は、相続人全員で遺産分割協議をおこないます。
しかし、未成年は単独で遺産分割協議に参加することができないため、法定代理人である親権者が協議に参加します。
ここで問題になるのが未成年者と親権者の両者が相続人だった場合、利害が対立してしまうため、親権者が代理人として参加することはできません。利害関係のない特別代理人を専任する必要があります。
令和4年4月1日以降であれば、18歳以上の相続人は単独で遺産分割協議に参加できるため、代理人は不要です。
また、相続開始日時点で未成年であっても、遺産分割協議の時点で18歳以上であれば、こちらも代理人は不要です。
成年年齢引き下げによる贈与税への影響
暦年贈与
贈与税の税率は「一般税率」と「特例税率」の2種類あります。
「特例税率」とは、贈与年の1月1日時点で成人している受贈者が、父母や祖父母(直系尊属)から贈与を受けた際に適用される税率です。その他の贈与は「一般税率」が適用されます。
基礎控除の課税価格 | 一般税率 | 特例税率 | ||
税率 | 控除額 | 税率 | 控除額 | |
200万円以下 | 10% | – | 10% | – |
200万円超~300万円以下 | 15% | 10万円 | 15% | 10万円 |
300万円超~400万円以下 | 20% | 25万円 | ||
400万円超~600万円以下 | 30% | 65万円 | 20% | 30万円 |
600万円超~1,000万円以下 | 40% | 125万円 | 30% | 90万円 |
1,000万円超~1,500万円以下 | 45% | 175万円 | 40% | 190万円 |
1,500万円超~3,000万円以下 | 50% | 250万円 | 45% | 265万円 |
3,000万円超~4,500万円以下 | 55% | 400万円 |
50% |
415万円 |
4500万円超~ |
55% |
640万円 |
上表からも分かる通り、課税価格が高くなるほど、特例税率の方低く設定されています。
成年年齢の引き下げによって令和4年4月1日以降の贈与については「贈与年の1月1日において18歳以上」であれば特例税率が適用となります。
相続時精算課税贈与
相続時精算課税も受贈者の年齢要件が設けられており、20歳以上の子や孫に、60歳以上の父母・祖父母が財産を贈与した場合に選択できる贈与税の制度となります。
成年年齢引き下げにより対象が18歳以上となりますので、2年早く適用を受けることができます。
まとめ
成年年齢の引き下げは、相続税・贈与税へ大きな影響を与えます。
これから相続税の申告を控えている相続人に18歳以上の方がいるなら、適用できる控除など注意が必要です。
贈与税も同様に、さまざまな制度を利用して生前対策をお考えの場合は、適用できるのかよく確認が必要です。
その場合は相続税や贈与税に詳しい税理士などの専門家への相談をおすすめします。
※埼玉あんしん相続相談室では生前対策のご相談はご相談料5,000円を頂戴しております。
その後、贈与税申告など有料のサービスをご利用いただいた際は5,000円お値引き致します。
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