相続が発生した方へ、相続税の申告の期限はご存知ですか?
税金には、期限などルールがきちんと決まっています。相続税の申告においてももちろん期限が定められています。申告期限はいつまでか、過ぎてしまったらどうなるのか、お伝えしていきます。
申告期限はいつまで?
相続税の申告期限は、相続を開始した日(被相続人が亡くなったことを知った日)の翌日から10か月以となっています。また、相続人の納付期限も、これと同様です。
例えば、平成30年2月4日に相続開始したのであれば、平成30年12月4日が申告期限日となります。
ここで、おそらく多くの方が、「2月4日に単純に10か月を足せばいいのか~!相続開始の翌日から10か月以内なんてややこしい言い回ししなくてもいいじゃないか!」と思ったのではないでしょうか。
しかし、税法の世界では、「国税通則法」という考えのもと、独特な期間計算方法が定められているのです。
先ほどの具体例をもとに計算過程を説明します。
相続開始を知った日「平成30年2月4日」
↓①まず1日足す
相続開始日の翌日「平成30年2月5日」:ちなみに、起算日と言います。
↓②10か月を足す
応当日「平成30年12月5日」
↓③1日引く
申告期限日「平成30年12月4日」
このように段階を踏んで計算がされるのです。
しかし、毎月同じ日数ずつあるわけではないので、いくつかルールがあります。
- 1.日数で計算するのではなく、暦に従って計算をすること(うるう年など注意)
- 2.最後の月に応答する日がない時は、その月の末日が適用(応当日が11月31日→11月30日が適用)
- 3.起算日が月の初日である時は、その応答月の末日(前日)が適用
それでは、相続開始を知った日が平成29年9月30日でしたら、どうなるでしょうか?
相続開始を知った日「平成29年9月30日」
↓①まず1日足す
相続開始日の翌日「平成29年10月1日」
↓②10か月を足す
応当日「平成30年8月1日」
↓③1日引く
「平成30年7月31日」
これは、上記3に該当する例でした。単純に9月30日に10か月足していたら、7月30日になってしまい、計算にズレが生じてしまっていました。
この計算方法を取得し、正しい申告期限がわかれば、安心ですよね!
ただし、期限が土・日曜日、祝日、12月29日から1月3日までに当たる時は、その翌日が期限となります。正しく期限を計算したら、曜日まで調べるようにしましょう!
期限を過ぎてはいけない理由
相続税の申告書は、上記でもお伝えしたように原則として相続を開始した日(被相続人が亡くなったことを知った日)の翌日から10が月以内となっています。
しかし、期限内に申告書を提出しないと、相続税の軽減ができる特例を受けることができなくなってしまいます。
その特例とは、
- 1.配偶者の相続税額の軽減
- 2.小規模宅地等の特例
これらの制度を受けられれば、何千万円と相続税を軽減することも夢では、ありません!ひとつずつ見ていきましょう。
配偶者の相続税額の控除
被相続人の配偶者は、「配偶者控除」という制度を受けることができ、これを受けることで1億6,000万円まで節税することが可能になります。
小規模宅地等の特例
被相続人が事業または居住用に使用していた小規模宅地(330㎡まで)について、一定の条件を満たした場合、最大その宅地の評価額の8割を軽減することができます。
ただし、これらの制度は、申告期限までに遺産分割も終えていないと受けることはできません。また、制度の適用を受けるためには他にも条件があり慎重に検討する必要があります。ぜひ、税理士にご相談ください☆
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期限を過ぎてしまった!ペナルティはある?
はい、ペナルティはございます。
申告・納付が一日でも遅れたのなら、罰金が発生し始めてしまいます。またペナルティにも大きく分けると4つ種類があるので、次の表を参考にしてみてください。
種類 | 何が起きたのか | 申告期限までに申告をしていたか |
その後のフロー |
追徴課税 |
---|---|---|---|---|
無申告課税 | いない | 自主的に期限後申告をする場合 | 5% | |
税務署より指摘されてから 期限後申告する場合 |
納付額が50万未満:15% |
|||
納付額が50万以上:20% |
||||
過少申告課税 |
いた ↓しかし 金額が不足していて追加で払う事となった
|
自主的に修正申告を した場合 |
0% |
|
税務署より指摘されてから 期限後申告する場合 | 納付額が50万未満:15% | |||
納付額が50万以上:20% | ||||
重加算税 | 脱税目的等の隠ぺいがバレた |
いた |
35% | |
いなかった | 40% | |||
延滞税 | 納税が期限内に間に合わなかった |
原則 年7.3% |
||
納期限から2ヶ月を超えた場合:14.6% |
こちらも参考にご覧ください→【期限後申告】
期限延長の可否とその方法
申告期限に到来するまでの1か月の間に特殊な事情が生じた場合、税務署に申請をすれば、その事情が生じたことを知った日から最大2か月申告期限を延長することが可能です。
主に特殊な事情とは
- 1.相続人の移動があった
- 2.遺留分の減殺請求があった
- 3.遺言書が発見された
- 4.相続人である(既に生まれたとみなされる)胎児が生まれた
- 5.申告期限前1か月以内に退職手当金等の支給額が確定した
というような場合です。わかりにくいところを下記で説明します。
相続人の異動があった
相続人の放棄の取消や、廃除やその取消に関する裁判の確定等によって相続人の人数が変わることです。
※放棄:相続権を承認しない
廃除:被相続人に対して虐待や重大な侮辱を加えた等で、被相続人の意思によって相続権を奪うこと遺留分の減殺請求があった
法定相続人(兄弟姉妹は除く)には、遺言があっても、ある程度遺産に対する取り分が確保されています。これを「遺留分」といい、遺留分を請求する権利のことを遺留分減殺請求といいます。
遺言書が発見された
これには制限があり、法定相続人以外の者に財産を遺贈する旨の書かれた遺言書が発見された場合に限ります。
このように特殊なケースに該当する場合のみ、申告の期限を延長することができますが、基本的には原則である相続を開始した日(被相続人が亡くなったことを知った日)の翌日から10か月以内であると考えておけば良いと思います。
まとめ
・相続税の申告・納税期限は、相続を開始した日(被相続人が亡くなったことを知った日)の翌日から10か月以内である。
・申告期限までに申告をしないと配偶者の相続税額の軽減・小規模宅地等の特例が受けられなくなる。
・相続税の申告・納税の期限が過ぎてしまうと罰金がある。
・基本的に相続税の申告期限は延期をすることができないが、一定の条件を満たせば延期することもできる。
こちらも参考にご覧ください→【相続税の納付・申告】
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